ラジオ周辺のノイズ対策

代表的なノイズの発生源
 ラジオの天敵は家電製品そのもの。多かれ少なかれ家電製品は電磁波を出している。しかし最近の家電製品はノイズを出す部分にシールドが付けられるなどノ イズ対策は優秀なので影響はそれほど出ない。

 ノイズの犯人探しは簡単だ。一番クリアに聞こえる地元放送局などにチューニングを合わせたポケットラジオを持って家中の電源周りと家電製品、パソコンや ら換気扇、洗濯機などをしらみつぶしに調べればいい。
 家電はできれば作動させた時と、待機電源のときの違い。ACアダプターを使っている機器は機器の電源が入っている時と入っていない時のACアダプターと 本体を調査する。

 ラジオを聴くことに専念したい場合は、周りにノイズを発生させる家電製品を置かないことが一番である。

 記事を書くに当たって、再度、私の住居の中にあるノイズの発生源を調べてみた。(本家記事を書いたのは社宅だったが、今は借り上げアパートに引っ越して いるため全部調査するのは今日が初めて)

 まず、目の前のパソコンとモニタ。それとTVは電源が入っていると隣の部屋までノイズを撒き散らしていることが分かった。電源がOFFのVHSビデオ デッキも相当なノイズ発生源であることが分かる。

 次に調べたのが換気扇と扇風機、それと洗濯機、冷蔵庫である。これらは内部にモーターを持っているためモーターがどれだけノイズを発生しているかが分か る。 結果として扇風機と換気扇は全くといって良いほどノイズが少ない。洗濯機は本体が鉄板で囲まれている為、殆ど影響が無いことが分かった。 冷蔵庫は 背面からノイズが発生している。真横と正面からはノイズを検出できなかった。

 もう既に調べてあるが、再度、寝床の調査。寝床に引き込んでいる電源タップには古いノートパソコンとACアダプター。携帯電話の充電器が2つ。外付け ハードディスクと外付けDVDマルチドライブとACアダプター。これらは1m以内に近づくと物凄いノイズを発していることが分かった。しかも、ACアダプ ターが刺さっているだけでノイズが出ている。本体の電源は全てOFFなのにも関わらず物凄いノイズである。

 で、一日に数度しか使わない電子レンジ。 これは作動中でも部屋の中にノイズを撒き散らさないが、操作パネル付近からかなりノイズが出ていた。あと、裏 側と廃熱用の吹き出し口もノイズが出ている。 ついでにドライヤーをONにしたらジュィー!という激しいノイズが入った。
 足元に転がっているデジカメの専用充電器は電池をセットしなくても接触させただけでギュイーーー!という音が出てびっくりした。どうやら充電器やACア ダプターという代物は大半が酷いノイズを出すようだ。
ACアダプターの大半はノイズ源
 ちなみに、ホームセンターで売っている汎用のACアダプターは結構ノイズを出す。ラジオ用の純正ACアダプターはACアダプター本体からはノイズを拾え るが、コードを巻きつけない限り殆どノイズを出していないようだ。ACアダプターの中にノイズフィルターでも入っているのだろうか。

 少し整理してみると、ACアダプター全般は大半がノイズを出すと考えてよいようだ。これらは個別にノイズの強度を調査すると良いだろう。 次に家電製品 であるが、冷蔵庫はコンプレッサーが動き出す時にノイズが走る。 洗濯機は大丈夫なようだ。 電子レンジ操作パネル付近から出る。 換気扇と扇風機は異常 なし。 ドライヤーはかなり煩いノイズが出るということだ。

 このように、どの電気製品がノイズを発生させているかを調べれば問題の解決になりそうだ。




ラジオの指向性 さて、Level.01 で説明したラジオのバーアンテナの指向性について思い出して欲しい。指向性が強いラジオの正面や背面方向にはノイズの元となる機器を置かないように心がけ るというのは無理なので、ラジオを置く場所についてはラジオの正面と背面方向にノイズの発生源が無いような場所に置くこと。

 また、ノイズを発生している家電の中でコンセントから抜いてよいものはひとまとめに電源タップに差し込んで、全部OFFにできるようにすることが簡単だ と思われる。
 通常、常に電源が入っている必要がある電気製品は、ノイズフィルターが内蔵された電源タップを使用するなどの工夫が必要かもしれない。
 また、ラジオがACアダプターやAC100Vで直接電気を本体に引き込んでいるものは、他のノイズが発生しやすい機器と別のコンセントや電源タップに挿 したほうがよい。同時に、ラジオを100VやACアダプタで使用する場合には、フェライトコアを使ったノイズフィルターも売っているので、電気の入り口で ノイズを軽減させるなどの対策も行なう。


 私のラジオ聴取環境は、既にノイズの発生源を突き止めているのでラジオを聴く時にはノイズ発生源と判明した機器のコンセントを抜いてしまうことで解決し ている。
 普段使っているラジオは居間の100VAC電源で鳴らしている SONY ICF-M770V(PLLシンセのホームラジオ)をFMラジオ専用に。 寝床ではICF-M260(PLLシンセのポケットラジオ)をニッケル水素充電 池で使用。 遠距離受信にはあおもりくまループ6号機とパナソニック R-P130というポケットラジオにニッケル水素充電池を使用している。

 基本的にニッケル水素充電池による電池駆動だと、乾電池のように使い捨てではなく1000回充電できるため経済的であり、同時にコンセントを通して家中 の家電製品から撒き散らされるノイズの影響を受けない利点がある。 今のニッケル水素電池であればアルカリ電池ほどの持続能力があるので、短時間に大量の 電流 を必要としないラジオではアルカリ電池よりもニッケル水素充電池の方が用途として最適と思われる。

 SANYOの eneloop であれば単三と単四しか無いので、単三充電池をアダプタでサイズ調整して単二や単一として使えば良いだろうし、Panasonicでは既にニッケル水素電 池で各種サイズの充電池が販売されている。 少し値が張るものの、使い捨てよりは格段にランニングコストが安い上に、もしも充電時間が気になるようであれ ば急速充電器という選択肢もある。


指向性を活かしてラジオを周辺のノイズからシールドする

ノイズシールドボックス かなり不恰好かも知れないが、ダンボール箱の表面にアルミ箔(料 理用のアルミホイルなど)を四方に貼り付けてバーアンテナの指向性の方向以外を電磁波 (ノイズ)からシールド するという方法も無くはないらしい。

 これに更にオプションをつけるとすれば貼り付けたアルミ箔に皮膜を剥いた導線をぐるりと巻いて、テープで固定したうえに、それをアースに繋いで状況がど のように変化するかを確かめてみると良い。

 こういった実験的な対策は、実際にやってみないと分からない訳で、論理的には効果があるかも知れないという程度である。

 Level. 4 で説明する外部アンテナを併用し、内臓バーアンテナを無効にしてしまう場合は、周りからの電波を遮断する為に六面全部をアルミ箔で覆って、ラジオ本体は箱 に入れ、外部アンテナからのピックアップを結合ループか結合カップラでラジオのバーアンテナに電波を受け渡すことが最良とされるという話もあるくらいだ。  

 ネットでよく見る解説では「鉄の箱にラジオを入れて・・・」という表現が多いが、ラジオの大きさに合わせて鉄の箱(クッキーの缶とか?)を用意するより も、ダン ボール箱とアルミ箔を利用して作成した方が大きさも丁度良いし、扱いやすいと思われる。

 とはいっても、これは周辺のノイズがあまりにも多い場合の最終手段のようなもので、実際に筆者である私がそのような状況下に置かれてみないと効果を検証 できない。(というよりも、そのような状況に置かれない限り試さないという方が正しい)

地面に敷設するアース アースは基本的に、地面に金属の棒を深く打ち込んだものに導線をつける か、金属の板に導線を溶接し、金属板は土に埋めてしまう。 そして、導線の片方を アースとして使用する。

 庭付きか地面があるアパートやマンションの1階なら可能ではあるが、都会のマンションやアパートではそうもいかないので、ベランダの手摺か、窓枠のサッ シに線をつけてアースとしても良いし、水道管などもアースとして使用でき る。コンセントにアースがついている場合はそれを使用しても良い。

 色々と面倒ではあ るが、意地でもアナログ環境でラジオを聴きたいという場合には試してみる価値はあると思う。

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